お客様と振り返る10年(第1回) 知られて欲しい投資信託の「その先」

ひふみ投信10周年記念

ひふみ投信10周年記念コンテンツ「お客様と振り返る10年」です。

2008年に69名のお客様から始まったひふみ投信。設定から現在までの10年間、ひふみ投信をお持ちいただいているお客様にインタビューをさせていただき、ひふみ投信を始めたきっかけから、長期投資への思いなどをお伺いさせていただきました。

第1回のインタビューは投信ブロガーの先駆者であるrennyさん(ハンドルネーム)。2006年にブログ「rennyの備忘録」の運営を始めてから着実に読者数を増やし、2007年には「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」を発案し、以来運営委員長として、長い期間多くの個人投資家に支持をされてきた方です。2019年2月には惜しまれながらも運営委員長を退任されました。

投資信託について、誰よりも向き合ってきたrennyさんに、ひふみとの10年間と長期投資に対する強い想いを語っていただきました。

聞き手:ダイレクト営業部 石川祥子、山崎孝

【プロフィール】
東京在住のrennyさん
理念やレポートに共感できるアクティブ投信を中心に長期積立。

rennyの備忘録

スタートは長期分散投資への信頼感

―――投資を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

2003年に長男が生まれて、学費のために資産形成を始めようと思ったことがきっかけでした。

まずは、保険会社の営業の方に学資保険の勧誘を受けたので、自分で色々と調べてみました。ただ、学資として返ってくる額が払い込んだ総額から割れているような商品もあって、これはちょっと違うかなと。
その次に、米国の個別株を買おうと考え始めました。当時、僕が海外の医薬品関係のベンチャー投資を本業でやっていたこともあって、そういう会社に投資するのが面白いかなと思っていたんです。それで、インターネットで銘柄を調べていたときに、ジョンソン・エンド・ジョンソンの投資家向けのページで、大きく成長していく株価の推移が目に留まったんです。それを見たときに、「ジョンソン・エンド・ジョンソンの株を持っていたらこんなに上がるんだ」と感動するのと同時に、「個別銘柄に投資をするなら次のジョンソン・エンド・ジョンソンを探さなきゃいけない」とも感じたんですね。とはいえ、個別銘柄を調査するには、僕も仕事が忙しかったということもありますし……。

でもそれが、長期で、ある程度分散させて投資をすれば、ジョンソン・エンド・ジョンソンのような優良企業の成長の果実を享受できるんじゃないかと。多少伸びがマイルドになったとしても、時間の関数が効くのではないかと。そこはなんとなく、直感的に腹落ちしていたんです。そこで投資信託という手段を検討するようになりました。

―――では、その頃からレオスを知っていただいたのでしょうか?

はい。レオスを初めて知ったのは、ちょうどその2003年頃、「鞍馬天狗※」が設立された直後くらいですね。

当時、藤野さんが運営していたブログにコメントを残して、何回かやりとりをしていたら、ご本人から「一度遊びに来ませんか?」とお誘いのご連絡をいただきました。半蔵門のオフィスで少しお話をしたのをきっかけに鞍馬天狗に投資を始めたことがきっかけです。そこからちょくちょくやりとりはあって、ひふみ投信が始まる直前くらいに、またランチのお誘いを頂戴して、レオスがどういうファンドを目指すのか興味深く聞かせていただきました。その頃、既に現在の投信ブログを運営していたいたこともあって、直販のファンドには興味を持っていました。

※鞍馬天狗:レオスが運用助言を行なっていたファンドの愛称

―――当社が商品を立ち上げるのを新聞に取り上げていただいたあと、rennyさんがすぐにメールをくださったと。その頃から応援してくださっていた、と藤野が話しています。

僕もあんまり記憶が定かではないですが、でも、そうだったかもしれないです(笑)。
当時、鞍馬天狗を扱っていた証券会社が、分配金を再投資できなかったり、積立の設定もできなかったりと、使い勝手はあまりよくありませんでした。なので、ひふみ投信ができた直後には、鞍馬天狗を全て解約してその資金でひふみ投信を買ったことを覚えています。

―――その後、10年間ひふみ投信を保有される中で、それなりに基準価額も高くなってきましたが、途中で売却を考えたことは?

全然考えたことはなかったです。もちろん浮き沈みあるとは思うんですけど、先ほど米国株のお話をしたように、そもそも当初から、時間をかければかけるほど、おそらく立派に育ってくれる、それに対して多分間違いないだろうなって思っていたので。そこの長期投資への納得感が大きいですね。途中でまとまった資金需要がなかったということもあります。

10年で、ひふみ投信も変わったところがあるでしょうし、僕自身も投資に対する考え方がずいぶん変わりました。ブログをやっていた当初は「インデックス投資ブロガー」と言われていましたが、今はそのように見られることにとても違和感がありますし。ひふみ投信を支持するという意味では、お付き合いが始まったころと比べてよりサポーティブ、「肯定的」になっています。アクティブ投信だから伝えられる投資の本質があると思うので。

―――心強いお言葉ありがとうございます。ひふみ投信が「変わった」ところと「変わっていない」ところはどこだとお考えでしょうか?

やっぱりファンドの規模が大きくなったことで、組み入れている会社の数が増えたなと感じるところがありますし、小さい規模の会社に投資をするっていうのは難しくなってくる面はあるかなと思っています。
ただ、そういう投資がしたいと考えていたら、そういう投資信託を探すことはあるかもしれないですが、ひふみ投信にお預けしているお金に関しては、「これからひふみはどんな風になるのかな」という興味半分のようなところもあります。それこそがある種の楽しみなのかなと個人的には思っていますけどね。
逆に、「ひふみアカデミー」だとか、基準価額のツイートだとか、情報開示に対する積極的な姿勢は、ずっと変わらないですよね。他社のファンドではなかなかないと思いますし、「続けていく」ことの大切さを様々な面で活かされているなぁという印象です。

―――開示姿勢を特に評価していただいているということでしょうか?

すごく大事です。最近解約した日本株のファンドがあるんですが、パフォーマンスがうんぬんというよりは、レポートがつまらない……、というか、投資先についての話に具体性がぜんぜんないんですよ。「今月は自動車関連銘柄が」とか固有名詞をひたすら避ける。「どこやねん!」と。メールで「レポートのスタイルを変えるつもりはないですか」と問い合わせたんですが、「変えません」とのことだったので、そのメールが来た瞬間に売却を決めました。

僕たちはファンドを買っているけど、「その先」にある個々の会社に投資しているわけじゃないですか。詰まるところ株式投資をしているわけです。だから、どういう会社にどういう背景で投資しているのか、その投資先にどんな「価値」を見出したのか、個人的にはそこを知って納得したいんです。もちろん、どこまで出せるのかっていう問題もあるのかもしれないですけど。
普段から情報発信の質や量が担保されていれば、突発的な変化でもその変化を大きく感じないというところはあると思うんですよね。

―――お客様の数が増えたこともあり、こちらの声がどこまで届けられているのか難しさを感じるようになったこともあります。

確かに、受け取る側の人が増えたり、いろんな考え方の人がお客さんになったりという面はあると思います。
僕がブロガー同士でイベントをやったりすると、参加者は大体顔見知りだったりすることが多いんです。ところが、レオスのイベントにお邪魔したときに、参加者の方を見てみると、知っている人ってほとんどいないんです。そういう面で、「ひふみ」が多様な投資家に支えられているんだなと、僕は感じました。

確かにあのテレビ放送(※2017年2月16日放送 テレビ東京『カンブリア宮殿』。藤野が取り上げられる)をきっかけにいろんなお客さんが増えたことは事実だと思いますし、途中でいなくなってしまう人もいると思うんですが、でもあの番組の姿から何かを感じてひふみ投信を買おうと考えた人もいるはずで、それは悪いことではないと思いますね。

レオスで開催される懇親会には、ひふみ投信をお持ちの幅広いお客様が参加されます。

知られて欲しい投資信託の「その先」

―――rennyさんはこれまでブロガーとして長期投資の大切さを伝える活動をされていましたが、お感じになっていることはありますか?

NISAやつみたてNISAができて、コストの安いファンドが出てくるようになって、それ自体はすごくいいことだと思うのですが、一方で投資信託の仕組みについて理解している人って少ないと思うんですよ。

例えば、毎日の基準価額ってどういう風に計算されているのか、株式とどのように関連しているのか。国がつみたてNISAを一生懸命推進している一方で、そういうことをそこまで積極的には発信していません。つまるところ、「価格」(投資信託でいうと基準価額)で説明できるような内容に終始していて、投資先の「価値」(企業価値)についてまず触れられていないことには強い懸念を抱いています。
投資信託が資産形成の「手段」であるということが、あまりにもクローズアップされすぎているせいか、先ほども話したような「その先」の投資先そのものについては「見なくてもいい」というようなことを助長しているような気はしています。つみたてNISAの非課税期間は20年のはずなのに、1年目でやめてしまう投資家の人もいますが、そういう人は思いが「その先」まで至ってない、投資信託を保有することがどういうことなのかを深く理解、納得することが出来ていないからなのかなと思います。

ただ、初めて投資をするような人たちにそこまでの説明はなかなかできないですし、理解していただくことも難しい。

―――はい、わたしたちも「その先」に関心を持ってもらうことが、投資の本質だと思っています。それを実現するために「こういう企画やイベントがあったら面白そうだな」というものがありましたら、アイデア教えていただけませんか?

うーん、何でしょうね。他社のファンドマネージャーとの対談ですかね。
僕が他に投資をしている投資信託のなかでも、面白い話をするファンドマネージャーが何人か出てきています。ちゃんとエッジがあるファンドマネージャーであれば両方が引き立つんではないかと思うんですよね。アクティブ投信ならではのこういったイベントがあったら、僕は楽しみだと思うかな。
投資先の「価値」について、投信会社やファンドマネージャーごとにいろんな捉え方、測り方があることを実感できそうですからね。

―――ありがとうございます。ぜひ参考にさせていただきます。これからもひふみ投信をよろしくお願いいたします。



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次回:「お客様と振り返る10年(第2回)」に続く

※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。
 ならびに、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。