国内初民間ロケット、ついに実現!インターステラテクノロジズ「宇宙品質にシフトMOMO3号機」打ち上げ成功レポート

Rheos Now

当社がスポンサーとして支援したインターステラテクノロジズ株式会社(以下、インターステラ社)の観測ロケット「宇宙品質にシフトMOMO3号機」の打ち上げ実験が、2019年5月4日に行なわれました。

結果は、多くのメディアでも伝えられているとおり、「完璧な成功」でした!

前回の結果からずっと前を向いて研究を続けてきたインターステラ社の皆様をはじめ、応援してくださった大樹町の皆様、関係者の皆様、本当におめでとうございます!ずっと頑張ってきてくださってありがとうございます!

本当におめでとうございます!そして、応援ありがとう!ついに、国内初民間ロケットとして、宇宙に到達しました!


プレスリリース:
観測ロケット「宇宙品質にシフトMOMO3号機」打ち上げについて お礼とご報告

ロケット打ち上げ成功までの道のりに関して既に多くの記事が出ていますが、今回はスポンサーの一社として支持させていただいたレオスの視点からレポートさせていただきます。

【レポート担当者】

飯塚 真菜(コンプライアンス部)
今回のロケット打ち上げについて、前夜祭から打ち上げ成功の日まで帯同させていただきました!
初めて訪れた大樹町。率直な感想でレポートさせていただきます!

失敗を乗り越えて、今度こそ宇宙へ!

わたしたちは、2018年6月に残念ながら失敗に終わった「MOMO2号機」に続き、今回もスポンサーを務めました。

昨年「MOMO2号機」の打ち上げの様子です

レオスの考える「投資」とは、お金でお金を生むことを目的とした短絡的な博打ではありません。ある地域、ある会社、ある人たちに賭けて、その人たちの夢を繋ぐこと。その大切さをあらためて教えてくれたのが、このロケット打ち上げプロジェクトでした。

稲川社長のインタビューはこちら
がんばれ「宇宙品質にシフト MOMO3号機」!インターステラテクノロジズ 稲川貴大社長インタビュー


「今度こそ宇宙へ」と、稲川社長率いるインターステラ社の皆様、そして後援会の皆様が様々な困難を乗り越えながら挑戦する姿をずっと見ていましたので、わたしたちも「3号機での成功をなんとしても見届けたい」という気持ちでした。

今回も機体には当社のイメージキャラクター「ひふみろ」をあしらっていただいています。

必ず成功させてみせる!意気込む前夜祭

当初打ち上げ予定日の前日、4月29日に関係者によるロケット見学会と、前夜祭が行なわれました。

まずは見学会。発射場となる場所は大樹町の海辺にあり、断崖絶壁、崖っぷちを車で移動していきます。

インターステラ社の稲川社長から直々に、ロケットの説明をしていただきました。

「未来の宇宙産業を見据え、民間だからこそとにかく安く、LCC的なロケットをつくりたい」というのが彼らの想いです。コストを削減する様々な工夫について、あらためて教えていただきました。

製作費については、前回に引き続き企業スポンサーや、クラウドファンディングで約1200人から資金が集まったほか、大樹町ふるさと納税制度でも集まったそうです。

たくさんの人が投資をして、希望を託したロケットなんだね!
写真のオレンジの部分が実際にロケットが立てられる場所です!
また、稲川社長は、「ゆるキャラが描かれているロケットなんて、普通はない!」と笑っていらっしゃいました。ロケットは一般的に、税金を使って飛ばす意義を示すために国旗が描かれているものだそうです。ここでも民間ならではの意味を知ることができました。
今回はわたしたちは一社スポンサーではありませんが、機体の“顔”を「ひふみろ」にしていただきました。

ロケット見学の後は、近くのホテルに移動し前夜祭が行なわれました。

今回のロケット打ち上げに際し、クラウドファンディングに参加した個人の方々や当社以外のスポンサーの方々など、50名近くの関係者が集まって、明日の祈願をしました。

北海道の食肉料理集団の株式会社エレゾ社の佐々木シェフ直々のジビエ料理が振る舞われました。鹿肉や熊肉など、普段お目にかかれない食材をとても美味しくいただきました!

この日のための特別なイラストがデザインされた料理を手に、意気込む堀江さん・稲川社長・藤野。

信じて待ち続けたゴールデンウィーク

しかし、最初の打ち上げ予定日の4月30日は、機体トラブルのため中止となりました。翌日の5月1日は雨予報だったため、5月2日に延期が決定します。
初日4月30日の有料見学席「SKY-HILLS」にはたくさんの方がいらっしゃいました。

ロケットが飛ぶためにはあらゆる条件が揃わなければならないんです。

まず、防水機能が弱いため雨の場合は打ち上げることができません。そして、風の問題。今回も何回も立ちはだかりました。

宇宙品質にシフトMOMO3号機は、全長10mほどで、重さが約1トン。一般的な日本のロケットの5分の1ほどのサイズです。よって、打ち上げ直前に自立させるためには、風速5m以下でないといけないという条件があります。

さらに、地上では風が吹いていなくても、予想できない上空風があると対策ができないため、打ち上げることができません。

4月30日、機体トラブルにより打ち上げ延期の記者会見の様子。
4月30日の会見で印象的だったのが、メディアからの「平成ではなく令和に飛ばしたかったのですか?」という質問に対して、堀江さんが「このロケット打ち上げに平成も令和も関係ありません。気持ち的には今すぐ飛ばしたい。現場は成功させるために必死でやっています。」という答えでした。
はやく打ち上がってほしいと思う一方で、延期して成功確率が上がるのなら、いくらでも延期する、という想いに思わずハッとしました。


気を取り直した5月2日も風速5m以上ということで中止に。さらに延期した5月3日も強風のためその日の朝5時に中止との知らせを受けました。

わたしたちは待っているだけなのですが、とにかく祈ることしかできません。打ち上がることを信じて、待ち続けました。

ひふみろが、ついに宇宙へ!

そして、運命の5月4日。

朝5時打ち上げ予定の知らせを受け、わたしたちはまだ暗い3時に帯広を出発し、大樹町に向かいました。

到着した会場は、朝焼けの綺麗な空が広がり、広大な十勝の大自然を全身で感じるような、とても幻想的なものでした。

風も弱く、環境面は完璧だとみんなで話していました。機体トラブルさえなければ今日こそ打ち上がるだろう、と。もしトラブルがあったらこのゴールデンウィーク中には打ち上がらないだろうとの会話も聞こえました。

打ち上げ予定の5時の直前、最終判断「GO」が出て、会場が拍手に包まれました。観測用の花火が打ち上がり、いよいよカウントダウンが始まります。

その瞬間を収めるためにカメラを構える人たち。

しかし、カウントダウンがゼロになってもロケットは飛び立ちませんでした。

最初は何が起きたかわからなかったのですが、しばらくして打ち上げ10秒前に緊急停止装置が作動したという報告を受けて、今日はもう駄目なのかもしれないと会場が沈んだ空気になりました。

その時、なんと5時45分に再度打ち上げるとの一報が!

まさかそんなに早く打ち上げが再開できるとは思わなかったので、少し困惑もしましたが、期待が膨らみすぐに緊張が戻ってきました。

後ほど稲川社長のご説明で知ったのですが、緊急停止は一種の安全装置が発動したもので、自動シーケンス(自動制御の方法のひとつ)に入るタイミングが一部合わなかったため作動したそうです。すぐに確認してリカバリーできたのも、冷静で迅速な対応があったからだと思います。

そして、午前5時45分、宇宙品質にシフトMOMO3号機は空高く飛び立ち、約4分後に高度100kmを越え、民間ロケットで初めて宇宙到達を果たしました。

ロケットが上に、上に飛んでいく様子を見て、無意識に「いけ、いけ……!」と願う声が出ました。

雲一つない広い十勝の空に、ロケット雲が見えた瞬間は言葉にならず、ただ涙が流れました。

この光景は、一生忘れられないものとなりました。

観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機」ダイジェスト動画
ゴゴゴゴ……と大樹町じゅうに聞こえているだろう大きな音だったのに、空の彼方へとロケットが消えていく景色は、無音の世界だったように思えます。会場では拍手が鳴りやまず、みんなが泣きながら成功を喜び合いました。

打ち上げ後の御礼参り、そして夢は続く

わずか数分の出来事だったのに、ずっとドキドキが止まりませんでした。

でも、そうも言っていられません。関係者の皆様にご報告するため、わたしたちは記者会見会場の道の駅コスモール大樹に移動しました。

会見までの待ち時間に、会見会場近くの大樹神社で御礼参りをしました。ここはインターステラ社のメンバーが入れかわり立ちかわり打ち上げ祈願をしていた神社です。

ちなみにこっそり御朱印がブームな私は書置きをいただくことに(御朱印帳を帯広のホテルに預けたバッグの中に入れていったことをこれほど後悔するとは思いませんでした)。

宮司さんに、今朝ロケットが打ち上がった御礼参りなんですというと、それならば一言添えましょう、と粋な計らいをしてくださいました!

「令和元年五月四日 MOMO3号打上げ成功の日に」
特別な思い出がまたひとつ増えました。大樹神社さん、ありがとうございます!

北海道に入ってからずっと感じていたことですが、千歳でも帯広でも「ロケット」というと「大樹町で今度打ち上がるんだよね」と知らない人はいませんでした。さらに大樹町の方は人一倍ロケットを身近に感じていて、大きな期待を寄せていることがわかりました。

大樹町は、投資をして応援することが根付いた地域なのかもしれないね!

打ち上げ成功後の記者会見の様子。
皆様晴れやかな表情をしていらっしゃったのがとても印象的です。

インターステラ社は軌道投入機「ZERO」の開発に向けて、また一歩踏み出そうとしています。

ここからさらに簡単とは言えない新しい挑戦に立ち向かっていく姿に、私も勇気をもらいました。

民間ロケットという新しい世界への最初の一歩に少しでも関われたこと、そして、希望を胸に辛抱強くあること、その投資の本質を学ばせていただけたこの機会に感謝します。
国内初となる快挙、民間ロケット打ち上げ成功本当におめでとうございます!(レポーター:コンプライアンス部 飯塚真菜