お客様と振り返る10年(第4回) 大切なのはファンドマネージャーの理念

ひふみ投信10周年記念

ひふみ投信10周年記念コンテンツ「お客様と振り返る10年」第4回です。

今回は、人気投信ブロガーのm@(エムアット)さんにインタビューをさせていただきました。m@さんは、2017年に投資がきっかけで知った林業再生の会社「トビムシ」に転職し、埼玉県の所沢から福岡県の八女市に移住なさっています。ご自身のブログでは、投資の情報のみならず、八女での暮らしについてもご紹介されています。
また、m@さんは「投信ブロガーが選ぶ!Found of the Year」の運営メンバーとして、よい投資信託を選び、広める活動もされています。
そんなm@さんのひふみとの10年間と投資信託に対するお考えを語っていただきます。

聞き手:ダイレクト営業部 山崎孝、マーケティング・広報部 坂崎絢子

【プロフィール】
福岡在住のm@様

投信ブロガー。「投信ブロガーが選ぶ!Found of the Year」の運営委員
いい投資探検日誌(from 八女)

任せられる人に任せきるのが投資信託

―――ひふみ投信が始まる前から、藤野のことはご存知だったのですか?

はい。2000年頃、まだ藤野社長がジャーディン・フレミング(現J.P.モルガン)にいらっしゃる頃くらいから知っています。書かれた著書がすごく面白いなと思っていました。「スリッパに履き替える会社に投資すると不思議と儲からない」、「創業者本人から自伝をプレゼントされたら、その会社に投資しても儲からない」など、ファンドマネージャーのユニークな視点からの様々な成長企業の経営者の話を楽しく読ませていただきました。企業を銘柄としてだけではなく、ちゃんと人を見ているなって感じたんです。

特に面白いなと思ったのは、「清貧」ならぬ「清豊」の考え方です。貧しくも心は清い「清貧」でも、汚い手を使ってお金を稼ぐ「汚豊」でもなく、正しい正直な方法でお金を稼ぐ「清豊」だ、とおっしゃっていて。経営者の人間性にまで思いをめぐらせているのだな、とそこが一番、目からウロコでした。

藤野社長がレオスを立ち上げられてから、運用助言をされていたファンド「鞍馬天狗※」も少し買ったりしていました。当時は自分の妻が運用会社に勤めていたために個別の株式については売買に制限がかかってしまうという点で、資産形成の手段としては投資信託がメインになっていました。投資信託についてそれこそなめるように調べていて、自分でブログも始めたりしていたんです。

その後、「ひふみ投信」が始まってからはそれまで持っていた一部の投資信託を売って、ひふみを買い始めました。

※鞍馬天狗:レオスが運用助言を行っていたファンドの愛称


―――ひふみ投信がスタートした時期は、どんな印象をお持ちでしたか?

他にもいくつか直販の運用会社が始まったところで、まだ最初はどうなるかわからないな、という気持ちもあったので、一括でまとまった額ではなく、少しずつ買っていました。

今から考えるとちょっと懐かしいですけど、当時は月1回の「ひふみアカデミー」に参加しても、お客さんが3~4人くらいしかいなくて(笑)、運用者の考えやファンドの目指している姿が非常にわかりやすくて、腑に落ちたことを覚えています。人数も少ないので普通にもう質問とかし合うみたいな感じでした。

―――おっしゃっていただいたように、ひふみ投信の特徴のひとつに「顔が見える運用」があります。

そうですね、運用状況がいいか悪いかは別として、どうなっているかは毎月ちゃんと伝えて、見せてくれるっていう安心感はありました。レオスのオフィスが丸の内になってからは勤務先から近くなったので、平日の夜のひふみアカデミーも頑張れば参加できるようになったので、よく通えるようになったんです。

言葉だけではなく、ファンドマネージャーの表情を見ることができて、何となく先行きを察することができたりもしますし。運用者の顔が見えるファンドは本当に少なかったので、当時からとても貴重なファンドでした。藤野社長だけではなく、運用部のメンバーのお話も個性豊かで面白いので、これからもいろんなお話を聞いてみたいと思っています。

僕が投資信託で長期投資をしているときの感覚に、「任せられる人に任せきる」という考え方があります。誰に任せるかは決めるけれど、任せきった後は毎月積み立てていく。だからこそ、任せるべきファンドマネージャーの理念が大切だと思うんですよね。


―――ここ数年でテレビなどにも取り上げられ、多くのお客様に応援いただけるようになった一方で、どれだけレオスの理念を伝えられているかという問題もあります。

僕も「カンブリア宮殿」の放送を見ました。あの放送を見て、レオスの企業理念に興味を持った人と、「基準価額が●倍になった」というトラックレコードに興味を持った人と、二種類の人がいるのかなと思っていて。そして、トラックレコードにしか興味を持たなかった人に、理念の方を理解してもらうのは割と難しいことだと思うんです。求めているものが全く違うので。トラックレコードで来た人は、短期的に成績が振るわない時期にやっぱり去っていってしまうのかなと思います。だから、本当の理念のほうでいかに呼べるのかという、ひふみが直販で最初からやっていたことを、やり続けていただくということなんでしょうね。

積立投資なら「下がっても自分のせいじゃない」

―――10年でひふみ投信の規模も組み入れ銘柄も大きく変わりましたが、不安になることなどはありますか?

不安というより、これからどうなるんだろうっていう期待ですね。僕としては、「変わるのはわかったから、成功してくれると嬉しいな」という気持ちです。藤野社長は「国民的ファンドを目指す」とおっしゃっているので。

ただ、的外れな批判をするお客さんが増えたとは思います。短期間で別の商品と成績を比較して「ひふみは負けている」と批判してみたり。その比較対象も国内中小型株ファンドだったり、外国株が組み入れられているひふみ投信とは単純比較できない金融商品だったりするんで、それは違うだろう、と。

そもそも、アクティブファンドの定義を誤解している人もいますよね。アクティブファンドとは、ある決まったベンチマークがあって、それをアウトパフォームすることを目指すものだと杓子定規に考えていたりする。そういったように、ひふみ投信に対してだとか、アクティブファンドそのものに対して誤解をされ、批判を受けているところはちょっと不幸かな、と思っています。

なので、レオスからの情報発信にしても、もっとわが道を行っていただいていいんじゃないですか。「こういうファンドにしようと思っているので」という独自性を打ち出していっていただくと、的外れな意見っていうのは、減ってくるのかなと思いますね。

―――基準価額が大きく動くこともありますが、長期で積み立てるためのコツはありますか?もし、これから始められる方に何かアドバイスするとしたら。

日々の基準価額は見てないですね。一応自分のブログで毎月レポート記事にしているので、しょうがなく運用益を見ますけど、だからといって何かをするわけでもないですし。

確かに、始めた頃って、安くなった時にタイミングを見てナンピン買い(買った後に値下がりした場合、下値で買い増して平均取得価格を下げる手法)しちゃうんですよ。でも、自分がタイミングを見計らって買うと、失敗した時に自分のせいになっちゃうじゃないですか。そういう意味では、心が穏やかじゃないですよね。積立だと、毎月の設定日は自分で決めたことだけど、「下がっても自分のせいじゃない」という気持ちがどこかにあって、そういうところが積立投資のいいところかもしれません。

あと、ドル・コスト平均法(定期的に一定金額分を買っていくと、高値のときは少ししか買わず、安値のときに多く買うことができる、という投資法)の考え方もあるんですが、最初のうちはいいんですが、積立額が200万円を超えたぐらいのところで、その効果も希薄化してくるというか。あるときから、「自分が何をしたところで変わらないし」っていう諦めのような境地になるんです(笑)。もう、完全に任せよう、っていう。

そうなると、先ほども話したように「任せられる人に任せきる」ことができるファンドをどう選ぶかということなんだと思います。だから、実はもう今はインデックスファンドは買ってないんです。一時期は買っていたんですけど、インデックスファンドは相場が下がっても、誰もなぐさめてくれなくて寂しいし(笑)。任せる人が見えているほうが、面白いし、続けられます。


―――最後に、ひふみ投信がお客様とのつながりをもっと深めるためには、どんな場所があったらいいと思いますか?

ひふみの社会科見学」は、やっぱりいいと思うんですよね。私も何回か参加させていただきましたが、組み入れ銘柄のことを知ることができたり、レオスの運用者がどういう観点で投資をしているのかを肌で感じたりすることができると思っています。

お客様同士のつながりみたいなのは、Facebookのグループのようなものがあって、そこでひふみ投信の運用哲学や理念のようなものについてお題を出して話し合うと面白いのかなと思います。

あとは、何でしょうね…。公式SNSでも日々の基準価額のほかに、運用哲学について140字で連載してみたりするのもいいかもしれないですね。まとまった文章ってなかなか時間がなくて読み切れなかったりするけど、「ひふみbot」くらいの手軽なものなら、いっぱいつくれそうじゃないですか。

―――なるほど、たくさんアイデアを出していただき、ありがとうございます。かなり参考になります。次の10年もお一人おひとりのお客様にとってよいパートナーでいられるよう、メンバー一同努めて参ります。本日はありがとうございました。



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※当記事のコメントは、個人の見解であり、市場動向や個別銘柄の将来の結果をお約束するものではありません。
 ならびに、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。