ひふみ投信10周年 藤野英人インタビュー(後編)これからが楽しみで仕方がない
ひふみ投信10周年記念

ひふみをやっていてよかった
―――これまでの10年で嬉しかったことは?
ひふみをやって、よかったなと思うことは、本当にたくさんあります。数え切れません。
例えばつい最近のことですが、お客様から写真を見せてもらったんです。生まれて1ヶ月の男の子。彼は、ひふみのセミナーで奥さんと出会って、結婚して、子供ができた。「この子にもつみたてをしているんです」っておっしゃっていました。
とても可愛い赤ちゃんで、お父さんも嬉しそうで。僕自身もすごく嬉しかったと同時に、重みを感じました。彼の信頼とか、気持ちを裏切りたくないですし、その赤ちゃんの10年20年後に、夢を描けるくらいの資産になっていてほしい、と。こういう願いが、ひふみをやっている大きな原動力になっています。
―――その期待に応えるためにも、これからもひふみが成長しなくてはいけませんよね。
はい。ただ、僕は自信があるんです。日本はまだまだ成長できる、と。
もちろん相手はマーケットですから、なんとかショックも起きるだろうし、いい時も悪い時もあります。1ヶ月や2ヶ月そこらでは、成果ってなかなか出ない。場合によっては1年、2年出ない、ってこともあるかもしれません。
だけど、僕が約30年運用の仕事をやっていて確信しているのは、「いい会社は次々に現れる」ということなんです。

注目する平成生まれの経営者
―――どういうことでしょうか?
最近よく、平成生まれの経営者に会うんです。30歳以下の世代ですね。彼らが、とてもいいんですよ。
もうすぐ平成という時代が終わるわけですが、総括するとあまり明るいものではなくて、昭和のひずみを引き継いだ膿出しの時代だったというイメージがあると思います。
だけど、実は平成生まれの経営者というのはこれから意外にやるんじゃないか、と。ちょうど「ゆとり世代」といわれるのが彼らですが、厳しい競争の中で育った団塊世代のようなガツガツ感も、その下のロスジェネ世代のような閉塞感もなく、すごくニュートラルに夢を目指している。結果として戦闘力が高いし、個性的です。これからの日本を引っ張っていくのは、こういう平成生まれのスターなんだと思います。
昨日もたまたま28歳の起業家に会いました。ecboっていう会社で、荷物の一時預かりシェアリングサービスをやるんだそうです。彼はかなり鋭い目をしていて、ぶれない哲学もあって。頼もしい経営者でしたね。同じく僕が注目していたインバウンドを意識したサービスで、訪日外国人観光客向けのWebマガジンを運営しているMATCHAという会社も、社長が29歳です。
驚いたのは、ecboの社長とMATCHAの社長は、大学時代から知り合いでお互い意識していたそうなんです。もうそういう起業家の社会が既にできているんだ、また次の時代が始まっているんだということを思って、嬉しくなりました。

真剣に生きる人々から、よい会社は無限に現れる
―――有望な企業というのは次々に現れてくるものなんですね。
そうなんです。時代が変われば、担い手が変わりますから。新しい宝物を発掘できる喜びがあります。実は、投資の仕事って、僕みたいな飽きっぽい人にすごくいいんだと思いますよ(笑)。「とどまる限り新しいものに出会える」というのは、珍しい仕事なのかもしれません。いつまでたっても「今日はすごい経営者に会った!」と興奮しているんじゃないでしょうか。
繰り返しますが、未来に向けてよい会社が出てくるっていうことに関しては、僕はものすごく確信があります。
これはなぜかというと、「人々が日々真剣に生きているから」なんですね。真剣に生きている限り、真剣に生きている人たちの中から、よい会社は無限に現れます。
そして、そういう会社を僕たちは見逃さずに、きちんとコミュニケーションしていきます。ひふみの中身も、時代に応じてバージョンアップしていくんです。
残念ながら今の日本は閉塞感で溢れていて衰退のイメージが強くありますが、そんなことはないということを、ひふみを通じて粛々と証明し、伝えていきたいと思っています。
次の10年がどんな10年になるのかわかりませんが、僕はこれからが楽しみで仕方がありませんね。
お客様の夢に届くまで、一緒に旅を続けたい
―――最後にお客様に向けて、メッセージを。
僕らのキャラクターの「ひふみろ」って、ロケットのキャラクターですけど、なぜロケットにしたのかというと、お客様の行きたい場所にできるだけはやく行っていただきたいという願いがあったからです。
結婚したいな、子供を大学までいかせてあげたいな、家がほしい、世界一周旅行したい、幸せな老後をすごしたい――いろいろあると思います。それぞれの人の未来への夢まで連れていくのが、ひふみというロケットなんです。
途中は乱気流で上がったり下がったりすることはあるでしょうが、皆さんも夢をかなえるまで、どうかぜひ僕たちと一緒に旅をしてほしい。その夢への過程そのものを楽しんでいただけたら嬉しいですね。
