ひふみの社会科見学in井関農機

ひふみの社会科見学レポート

ひふみ投信のファンドマネージャーやアナリストが、ひふみ投信のお客様と一緒に素敵な会社に訪問させて頂く、ひふみの社会科見学。今回は農業機械の総合専業メーカーである井関農機さんの夢ある農業総合研究所に伺わせて頂きました。
ISEKI & CO., LTD.

井関農機

トラクターや耕うん機をはじめとする農業機械の専門メーカー。1926年、愛媛県松山市に「井関農具商会」として産声を上げてから100年近い時間をかけて農業の機械化や効率化・省力化を推進されています。90週年周年を迎えた2015年には、「そこに行けば先端農営技術が見える」をコンセプトとした研究所兼見学施設を茨城県つくばみらい市にオープンされました。

夢ある農業総合研究所
今日の案内役は佐々木さんなんだね!よろしくお願いします!

佐々木 靖人 シニアアナリスト

経歴はこちらの
運用部インタビューへ
ひふみろは、農業に対してどんなイメージを持ってるかな?
そうだなあ、力仕事のイメージかなぁ。それと自然が相手で大変そう。泥だらけになりそうなイメージもあるかな。
そうだね。一般的に農業のイメージと言えば、きついとか儲からないとかそういったイメージを持つ人も多いと思うんだ。井関農機さんはそういうイメージの農業を脱却しようと、ITを駆使した農業機械を作ることで、農家の人の負担を減らし、利益を増やそうとしているんだ。
なるほど~!農業というお仕事が、今までよりも簡単になってきちんと利益もでるというのが、「夢ある農業」なんだね!
見学当日は夢ある農業総合研究所のセミナールームでこれからの農業のお話や井関農機さんの取り組みなどを色々と教えていただきました。当日同席したレオスの代表取締役社長・最高投資責任者の藤野も熱心に聞き入っています。
(取締役専務執行役員の菊池様)
井関農機は1926年にはじまった、農業機械の専門メーカーです。100年近い歳月をかけて農業機械を開発し続け、社会構造や農業のあり方が時代と共に変化する中でも、一貫して農業の効率化、省力化を支えて来ました。そしてこの夢ある農業総合研究所は、その成果を農業に関わる多くの人にお伝えする場所でもあるんです。

ところでひふみろ君、農業をお仕事としている人の平均年齢は何歳くらいだと思いますか?
うーん、重い物を運んだりするよね~。30歳から40歳くらいかなあ?
(菊池様)
そうあるといいのですが。実は66歳に達しています。日本全体の平均年齢が46歳ですので、農業がいかにご高齢の方に支えられているかが分かりますね。
そうなんだ!農業に従事する人は増えているんですか?
(菊池様)
残念ながら日本の農業人口は減少が続くだろうと見られています。耕作放棄地も昭和60年と比べて約三倍、耕作面積全体の10%に達します。滋賀県一つがすっぽり入るほどの大きさです。そのような状況で進んでいるのが、農地の集約、つまり大規模化です。これらの課題に対して井関農機では様々な栽培技術とICTを活用した農業機械の活用に努めています。
※ICT (Information and Communication Technology)
情報・通信に関する技術の総称で、一般的となったITの概念を一歩進め、IT技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉です。
あ、あいしーてぃー・・・?
(菊池様)
ははは、実際に見てもらったほうが早いですね。

最先端の農業機械を見てみよう!

夢ある農業総合研究所の展示ホールにやって来ました!ここでは、最先端の農業機械や、農作物の栽培方法などが展示されています。
うわあ~!おっきくてピッカピカ!
(菊池様)
左奥から手前に向かって順に、コンバイン、田植機、トラクターです。コンバインとは刈取・脱穀などの複数の機能を備えた収穫作業機です。田植機は、名前の通り田んぼに苗を植えるための機械。トラクターはいわゆる牽引機で、後部に様々な機械を取り付けて耕したり様々なこと作業をすることができる機械です。
まずはトラクター!
大柄な藤野さんが小さくみえるね!
トラクターの操縦席
カーナビみたいなのがついてるよ!
これはより進化したカーナビなんだ。車が道を走るときには、車線が引いてあって、どこを走ったら良いかわかるよね。でも田畑には車線はないから、何度も同じ所を耕さないように効率よく運転するのって意外と熟練の技なんだって。大規模農家だと間違えて作業した畑にもう一度来てしまったりとかもあったりとか。
農作業っていろいろ考えながらやらなくちゃいけないんだ。考えることが多くて大変だね。
GPSガイダンスシステム リードアイのイメージ図
このカーナビは「GPSガイダンスシステム リードアイ」と呼ばれていて、自分が今何処を耕しているか、一度耕したところを通っていないか、GPSの信号を利用して画面上に表示してくれるんだ。どこの田畑を作業したかも記録してくれるから、便利だよね。
農業機械って人間には出来ないたいへんなチカラ仕事をしてくれるだけじゃなくて、作業の効率化やあれこれ考えないといけないところをサポートしてくれるようにもなっているんだね!!
こちらは同行した運用部の湯浅。GPSガイダンスシステム リードアイのシミュレーターを体験しています。ハンドルさばきが上手だと、褒められていました。
(このシステムが特に効果を発揮するのは先が見えない広大な圃場や、作業結果を確認できない肥料散布作業です。また、視界が限定される夕方や夜の作業にも力を発揮します。シミュレーターでは、夜の作業も体験することが出来ます。)
ひふみろ、こっちのコンバインもすごいよ!
最大級のコンバイン。こちらもとっても大きな機械です。
佐々木さん楽しそう~。ロボットに乗って遊んでいる男の子みたい。
まず何がすごいって、座り心地が良い。もしかしたら会社の椅子よりも座り心地がいい。他にも、音楽が聞けたり、エアコンも付いてる。いたれりつくせり。
農地の集約による大規模農業化が進み、ICT技術を活用した農業機械の利用時間は長くなっていくと言われています。機械の振動や暑さ寒さなどによる作業者の疲れを軽減するため、快適な操縦席が用意されているのだそうです。
そして何よりこのコンバイン、秒速2メートルの速さで稲刈りができるんだ!時速にすると7.2kmだけど、手作業で稲刈りしたと思えば、秒速2メートルってすごいことだよね。
こちらは最先端の田植機。正式名称は土壌センサ搭載型可変施肥田植機。
(菊池様)
田植機は、田んぼに苗を植えながら肥料を撒くこともできる機械です。同じ田んぼでも、稲の育ち具合に影響する土の深さや土中の栄養の多少は違いますが、従来型の田植機では肥料を均一に撒いていました。そこで新開発の機種では、田植えと同時に場所ごとの最適量を計測し肥料を撒くように改良しました。
肥料は多いほうが良いのかと思ってました。違うんですか?
可変実肥の効果
(菊池様)
肥料を与え過ぎると、稲が倒れるのです。稲が倒れてしまうと、1:品質低下 2:作業時間の増大 3:機械の故障 といったデメリットがあります。だから稲は倒れないに限ります。
この田植機、人には出来ない技術の実現だけじゃなくて、人の作業も簡単にしてくれるんだ。
おおおー苗棚がウィィィ~ンってうごいてるよ!
田植えの時は、苗を何度も何度も田植機に補給しなければなりません。補助作業者があぜ道から田植機に積み込んで補給するのですが、田植機は田んぼの中にあってあぜから遠いため、腕を伸ばしたり田んぼの中まで入って補給します。苗は1つ5kgほどあるのですが、一度に8個以上補給することがありますので大変な重労働です。 そこでこの田植機は苗棚を変形させることで、あぜ道から楽な姿勢で直接苗を搭載できるようにしました。一列に並んだ苗棚に一気に苗を積めるため、格段に作業が楽になるのです。
この田植機ではVRゴーグルを装着して田植え体験ができるよ!「動いてる~!」「めっちゃ植えてる」と、何度も驚きの声が上がっていたよ。

ICT技術による、農業全体の効率化・省力化

これらの技術を井関農機さんは「アグリサポート」と名づけていて、IT技術によって農業機械が高性能になっただけじゃない、もうひとつの秘密があるんだ。

実はそれぞれの農業機械で集めた情報は、タブレット端末などから閲覧・管理することができるんだ。作業時間をはじめ作業場所、面積、使用した燃料、機械の状態、土壌や収穫した農作物の状態など、様々な情報が自動で手のひらに集まるんだ。これが「IT」にコミュニケーション(Communication)が加わった「ITC」技術の真骨頂なんだ。
当日は他にも色々と見学させていただきました。稲や様々な野菜の栽培方法についてのディスプレイや、
会社の年表がはってあったり。まさに農業機械の歴史が凝縮されています。初期の頃の耕うん機はとてもレトロです。
会社の年表がはってあったり。まさに農業機械の歴史が凝縮されています。初期の頃の耕うん機はとてもレトロです。

農業は新しい姿へ

(菊池様)
どうでしたか。農業に対するイメージが変わりましたでしょうか?

とってもかわりました!
(菊池様)
なによりです。就農人口の減少に対しては、ICT技術の活用以外に、伝えられてきた栽培ノウハウを保護することも農業の課題です。玉ねぎ一つでも地域ごとに栽培方法は違います。初心者の方でも栽培できるノウハウの確立を目指して、栽培方法の研究にも取り組んでいます。
同じ玉ねぎでも、そんなに違いがあるんですね!
(菊池様)
この研究所は単なる見学施設ではなく、最先端の農業機械技術や栽培技術などを研究し、実際の農業に還元するための施設という先端研究施設の顔も持っています。研究所の周りには圃場(ほじょう、田畑のこと)を約5ヘクタール有していて、実際に栽培しながら実証実験を行っています。
実際にやってみないとわかりませんよね!
(菊池様)
そうなんです。それと、地域に合わせた応援をするために、夢ある農業総合研究所は九州にブランチ(支店)をオープンしました。夢ある農業を広めるために、これからも全国に広げていく予定ですよ。
沢山の人がいらっしゃるとうれしいですね。今日は色々見せてくださってありがとうございました!

就農人口の高齢化をはじめとして様々な課題を抱えている日本の農業。今回のひふみの社会科見学は、それらの課題に正面から立ち向かい、農業の未来をより明るいものにするために努力している企業と人を、実際にこの目で見て手で触って体験して頂いた回となりました。

参加されたお客様、そしてご協力頂きました井関農機の皆さま、ありがとうございました!
ひふみ投信を保有のお客様向けに開催されているひふみの社会科見学、ぜひ皆さまのご参加をお待ちしております!

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