ひふみ投信の基準価額変動について運用責任者からのメッセージ

ニュースリリース

いつもひふみ投信をご愛顧いただきありがとうございます。

本日の日本株式市場は、TOPIXがマイナス72.64ポイント(-4.88%)、日経平均株価がマイナス1,010円45銭(-5.01%)と下落しました。
このような中でひふみ投信も前日比マイナス2,192円(-5.46%)と大きく下落し、お客様にはご心配をおかけしておりますことを心よりお詫び申し上げます。

昨今の株価変動や今後の運用について改めてお伝えいたします。

運用責任者 藤野英人より

ひふみの基準価額の下落について多くの方にご心配をおかけしていることを、心よりお詫び申し上げます。

また、当社が本日12月25日に上場をする予定でしたが、当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について投資家保護の観点から深掘りすべき事項が発生し、上場手続きを延期することになりました。その件でも、ご不安をおかけしまして、大変申し訳ございません。

市場動向は三宅から詳しく説明があるとおりです。予想PERが10.6倍、実績PBRが1.03倍ですので、リーマンショックに並ぶくらいの株価の割安状態になっています。そのような意味で、弱気になる必要はなく、むしろ強気になっています。

前回12月18日のレポートと繰り返しになりますが、株式市場については値上がりも値下がりも実際の価値と比較してしばしば行き過ぎることがありますが、最近の株価の下落については、甚だ行き過ぎていると感じています。

株価が下落すると多くの投資家の不安感が増し、結果的にパニックを起こしてしまい、狼狽売りにつながることがしばしばあります。今回もそのような状況になっていると考えています。またそのような時は同様に機関投資家も狼狽売りをすることが少なくなく、彼らが保有している優良銘柄も一律に売られてしまうことがあります。そのような時は、むしろ成長性の高い優良株ほど売られることがこれまでの経験の中でよく見た現象です。今回はそのような状況が重なり、わたしたちが自信を持っているすばらしい会社が必要以上に売り込まれています。

成長を続け、未来にとても自信を持っている会社をひふみではたくさん保有しています。そしてその中の一部の企業は株価純資産倍率も1倍を大きく下回り、資産価値よりも安くなっている割安の状態です。

外部環境を見てみると、米中貿易戦争はこれからも続くかもしれませんし、景気の悪化トレンドも来年はさらに加速するかもしれません。しかし、株価はそれに先駆けて下がっていますので、この先だんだん下げにくくなってくるでしょう。そうなってきたら、株価の反転時期です。

わたしたちは元気いっぱいに日本や世界を駆けまわり、よい企業を発掘しています。

今後も、米中貿易戦争の今後や経済の見通しについてより多くの発信もしていきますし、常に率直で正直であり続ける姿勢は変わらず持ち続けてまいります。 またこの下落相場で、今まで株価水準が高くて見送っていたいくつかの成長企業へも投資を行なうことができており、下落相場ならではの恩恵を受けています。市場が落ち着けば、リターンによってお返しができると予想をしています。

日ごろのご支援や叱咤激励のお言葉についても感謝しております。

引き続き全力を尽くしてまいります。

 

代表取締役社長 
最高投資責任者
藤野 英人

経済調査室長 三宅の目

本日(12月25日)の日本株は、先週からの米国株急落やリスク回避の円高などを受けて、日経平均株価が前日比-5.01%、TOPIXが同-4.88%と大幅続落になりました。

震源地になっている米国株の急落は、①米中貿易戦争の激化、②米金融政策に対する不信感が主因として挙げられますが、加えて、国境の壁予算の合意ができず米政府機関の一部閉鎖や、マティス国防相の辞任(実質的な更迭)など、トランプ大統領の「米国第一」政策に対する警戒感が重石になりました。米国株の急落が米国(世界)経済の失速懸念を高め、それがさらに株安を招く悪循環の様相になっています。こうした暴力的な株価急落は、ある面で米政府・金融当局に対して政策転換を促す効果があり、今後、そのような動きが出てくる可能性が高いとみられます。日本株の先行きを占う場合にも、基本的に米国株の動向が焦点になり、米国経済と金融政策の先行き、そして米中貿易戦争の行方がカギを握るとみられます。

米国の金融政策面では、12月19日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%の利上げが実施されましたが、2019年の利上げ見通し(ボードメンバーの中央値)に関して9月時点の3回から今回2回に利上げ回数が引き下げられました。ただし、市場では歓迎とならず、むしろ失望売りを誘いました。米中貿易戦争が激化するなど、米国および世界経済の先行きに対する不透明感、失速懸念が強まる中で、さらなる利上げに対する警戒感が強まっていることが背景とみられます。

一方で、パウエル議長のFOMC後の記者会見では、12月の利上げでFFレートが2.5%になり、FRB(連邦準備制度理事会)が想定する中立金利(景気を過熱も抑制もしないFFレート)水準の下限値に到達したことを強調していました。
これは今後の金融政策を考える上で非常に重要と考えられます。目指すべき中立金利水準にほぼ到達したとも解釈できますので、利上げ打ち止めがそろそろ近いことを示唆しているように推察されます。米国株の急落など世界的な株安進行やリスク回避の悪影響は、米国(世界)経済にとって下押し要因になります。
こうした市場の催促に対して、FRBは2019年の早い時期に、一端利上げを休止する、あるいは利上げを打ち止めにするといった方向性を示唆するのではないでしょうか。次回1月29~30日のFOMCが注目されますが、株価下落のスピードが速い分、その前に重要メッセージが出されるかもわかりません。

米国経済は、金利上昇などで住宅関連に減速がみられますが、2018年4Qまで総じて堅調でした。足元の長期金利の低下基調からしますと、名目潜在成長率>長期金利の関係が継続しており、市場環境が落ち着きを取り戻せば、投資抑制などで米国景気が失速するリスクは限定的と推察されます。インフレ率が安定している中で、上記のようにFRBは2019年前半にも利上げ打ち止めに動く可能性があります。金融政策の転換点が現実になるようですと、長期金利は低位・安定化の動きになり、米国景気の失速リスクが低減するとみられます。

懸案の米中貿易戦争は、12月1日の米中首脳会談で米国が対中輸入品2,000億ドルに対する追加関税引上げ(10%→25%)を90日間猶予することが決まりました。中国は3月2日までの猶予期間内にトランプ政権の納得する施策を打ち出さなくてはなりません。できなければ追加関税が引き上げられ、中国経済は大きな打撃を受けます。それは、中国の夢や中華民族の復興(2035年頃に先進国へ復帰)といった習近平指導部が掲げる長期目標の達成を危うくします。1月は米中交渉が本格化するとみられますが、おそらく中国政府は農産品や航空機などの輸入促進や市場開放、知財権保護の強化、外国資本の出資制限の段階的撤廃(単独進出業種の拡大)など、米国を納得させる対応策を打ち出すのではないでしょうか。

TOPIXのバリュエーション面をみますと、既に売られすぎを示唆する水準に入っています。12月25日時点の12ヵ月先予想PER(ファクトセットのアナリストコンセンサス予想)は11倍を下回る10.6倍、実績PBRが1.03倍と、戦後最悪の不況と言われたリーマンショック(2008年9月)の後につけた最低値に接近しています。振り子が振り切れつつある状況とみられますが、長期的な観点からみますと、株式価値は割安感の強い水準(歴史的な割安ゾーン)に突入していると推察されます。

日本株をはじめ主要国株式市場や、世界経済にとって米中貿易戦争の激化がリスク要因です。
貿易戦争に改善の動きが出てくるのか否か、早晩はっきりするでしょう。出てくれば市場に安心感が広がり、株式市場は底入れ・反転の動きに転じると予想されます。米中貿易戦争は、単なる貿易問題では無く、技術や軍事面における覇権争いが底流にあり、両国の攻防戦が長期化しそうですので、マーケットにとっての重石が継続する可能性は否定できません。米中貿易戦争に絡む悪材料を消化しながら、少し時間をかけながら株式市場は耐性力をつけていくとみられます。

運用本部 経済調査室長
三宅 一弘